日帰り手術の実績のご紹介
当クリニックは2009年12月に日帰り手術3,000例を突破しました。
 
鼠径ヘルニア・日帰り手術が共同通信社の取材を受け、全国各地の新聞に掲載されました。
最新医療情報(http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/0706herunia.html)にて公開されています。
ぜひご覧ください!

3.成人そけいヘルニアの手術

成人そけいヘルニアとは、小児そけいヘルニアと違い、多くの場合はそけい部の腹壁を構成する筋膜が加齢とともに弱くなり、腹膜が飛び出してくることによっておこります。40歳代以前の若い人にもありますが、多くは50歳以降に発生します。また、成人そけいヘルニアには3つの種類(外そけいヘルニア、内そけいヘルニア、大腿ヘルニア)があり、また、まれに2つのヘルニアを同時に持っている患者さんもおられます。つまり、筋膜が弱くなる場所によって、出てくるヘルニアの種類も違うのです。このように、成人そけいヘルニアの発生機序は小児そけいヘルニアとは違いますので、手術方法も違ってきます。ヘルニアの出口で腹膜をただしばるのではなく、ヘルニアの出口を広くメッシュのシートでふさぐ方法が行われます。10年ほど前までは、ヘルニアの出口の筋膜や筋肉を糸でしばってふさぐ方法(従来法)が盛んに行われていましたが、術後の痛みが強く、術後1週間程度の入院が必要でありました。また、その再発率は10〜15%であり、満足できる手術成績ではありませんでした。そこで現在では、メッシュによるヘルニア修復術が主流となっています。メッシュを使うメリットは筋膜や筋肉を無理に縫い合わせないので痛みが少なく、早期社会復帰が可能で、再発が極めて少ないことです。デメリットとしては、メッシュに細菌が付くとメッシュの感染をおこす可能性があることで、当院ではメッシュの取り扱いについて細心の注意を払っております。

図1 メッシュ・プラグ 図2 ブローン・ヘルニア・システム
図1 メッシュ・プラグ 図2 ブローン・ヘルニア・システム

図3 クーゲルパッチ 図4 3D MAXメッシュ
図3 クーゲルパッチ 図4 3D MAXメッシュ

現在、日本では4種類のメッシュがあります(図1〜4)。当院では、成人そけいヘルニアの種類に応じてこれら4種類のメッシュを使い分けており、患者さんに最も適したものを使用するようにしております。

図5 ヘルニアバンド
図5 ヘルニアバンド

尚、成人そけいヘルニアは、自然に治ることはありません。放置するとだんだん大きくなってきます。ヘルニアバンド(図5)で、そけいヘルニアが出ないように押さえている方もいますが、いくら押さえてもヘルニアの出口が自然にふさがることはありませんので、完全に治すためにはやはり手術が必要になります。
当院では、まず術前の診察時に、そけいヘルニアの有無を確認します。当院で手術をすることに同意が得られましたら、術前検査(胸腹部写真、心電図、採血)をその日のうちに行って頂きます。実際の手術については、このとき詳しく説明します。

図6 皮膚表面装着剤による閉創
図6 皮膚表面装着剤による閉創

手術は、そけい部の4〜5cmの皮膚切開から、ヘルニアの袋(腹膜)をおなかの中に戻して、ヘルニアの出口をメッシュのシートで広くふさぎます。手術時間は30分程度で、硬膜外麻酔または局所麻酔で行います。合併症には、出血、創感染、精管損傷、精巣動静脈損傷、創部浸出液の貯留、再発などの可能性がありますが、熟練した外科医が行えば安全な手術であり、当院では午前中に手術をして、麻酔が覚めたら退院する日帰り手術で行っております。また、抜糸がいらないように創部の閉鎖を工夫しておりますので(図6)、手術当日からシャワーによる入浴が、また、通常の入浴は術後3日目から可能です。

術後は、まず7〜10日後に外来を受診して頂き、創部のチェックを行います。通常、成人そけいヘルニアでは、創部の腫れが完全に軽快するまでに約6週間を要しますので、それまでに2〜3回の受診で経過を確認しております。また、帰宅後心配な点がある場合は、随時電話相談に応じております。